Kaien/ガクプロの藤です。内定おめでとうシリーズ第2弾は、ガクプロ生へのインタビューです。
Hさん(20代・男性)
都内私立大学4年生。4年生の初めからガクプロに通い始め、公務員試験を経て、4月から大手運輸系企業の特例子会社に勤務予定。大学では(ガクプロ生の中ではかなり少数派の)体育会部活に所属。ガクプロでは、吞み会隊長として、積極的に周囲に会話を投げかけ、お酒が弱い人の代わりにお酒を飲み、場を盛り上げる。
Hさんが、ガクプロに来ようと思ったきっかけは?
親が探してきたのがきっかけです。本格的に就職するために、支援が必要だと思って、4年生のときから参加しています。その頃から就職活動をはじめています。初めは大学内の説明会に出ていましたが、基本的には公務員試験をメインに考えていました。
公務員は地元の市役所を受けました。筆記は通ったけれど、面接で落ちてしまいました。その後、秋ごろまでに民間企業は10社ぐらいを受けて、鉄道系だったり、金融系を受けたり、メーカーも受けました。
公務員試験に落ちたときは落ち込みました。気持ちの立て直しはうまくないほうなので…。その時思ったのは、このまま一般枠の就職活動を続けたら泥沼にはまるかもしれないということです。受けても受けても面接に落ちるかもしれない。たくさん会社を受けなければならないし、その疲れで面接もうまくいかないのでは、という不安が強くありました。そこで、障害者枠を受けることを考えはじめて、しばらくは一般枠と障害者枠を並行して受けていました。
結果として、Hさんは障害者枠で就職をしましたが、もし一般枠を選んだとしたら、どのような不安があると思いますか?
例えば、人間関係で苦労をするのではないかとか…どうしても、自分のことだけで精いっぱいで、他の人に目が行き届かないところがあるからです。
これまでの人生で、いろんな場面で苦労をしてきました。例えば、人に教えるのがうまくいかないなあと思うことがよくあります。体育会系の部活に所属ををしているのですが、後輩から嫌われているかもとか、劣等感をすごく感じます。他の人が気づくことに、自分は気づかない。おもに学校の部活でとても感じました。
Hさんが、発達障害だとわかった経緯を教えてください。
診断自体は小学校高学年の頃に出ています。アスペルガーです。親と一緒に診断を受けに行きました。当時の自分としては、「勝手に変なレッテルをはらないでほしい」と否定していました。けれども、特に大学のときに人間関係につまづきはじめて、少しずつ自分でも受け入れ始めたと思います。
高校までは、いじめられているということはないのですが、友達がほとんどいませんでした。自分からはあまり他の人に近づかないタイプでした。今から思うと、今は少しましになったなと思います。余談ですが、先日高校のクラス会に行って、多少は当時のクラスメイトと話せるようになったと思いました。
それができるようになったのはたぶん、大学の部活のおかげだと思います。人との距離感を学びました。体育会系の部活なので、とても連帯感が強いです。そういった集団に入って、縦社会に入って、しっかり上の人の言うことを聞こうと思いました。縦社会の方が、上の人の話を聞けばよいので心地よい。やるべきことがしっかりわかるからです。むしろ横の関係の方が難しいことがあると思います。距離感をつかみにくいから、部活の同期をサシ飲みには誘えないですね…。自己肯定感が低いから。断られたらどうしようとか考えちゃいます。
Hさんにとって、ガクプロはどういった場所でしたか?
就職の指南をしてくれるということもあるし、似たような人がいっぱいいるので、自分にとっては交流の場の意味合いが強いです。
普段の生活だと、自分は状況判断がへたくそで、どうしてもうまく動けないこともあります。ガクプロであれば、自分が苦手なことを知っていてくれるので、動くのがとても楽です。また、自分だけでなくて、ほかの人も苦手なことがあるんだという空間なので、自然体でいられます。
特に印象深いセッションはしゃべり場(注:テーマを決めて不安感などを共有するおしゃべりの場)です。みんな、苦手なことがあるんだということがわかって安心したし、何回か司会をさせてもらったので、話のまとめ方も参考になりました。
Hさんは、かなり吞み会でも活躍してくれたと思いますが、吞み会の思い出はありますか?
呑み会(注:毎週開催のKaien主催の懇親会)の思い出は、とにかく楽しかったということです。ワイワイ騒ぐというよりは、じっくりと話せるので。お互いの近況だったり、好きなものだったりをゆっくり話せます。話したい人と話せばいいと思うし、お酒は好きな人は飲めばいいし、飲めない人は飲まなくていいし。そういう自分で選べる環境がいいと思います。部活の呑み会はガクプロとは正反対で「強くなくても飲め」という感じ。そういう吞み会が苦手というわけではないですが、ガクプロの呑み会はみんなマイペースでやれるので好きです。
就職に話を戻します。公務員試験に落ちた後の就職活動について教えてください。
一般枠と障害者枠でしばらく並行して活動していたのですが、11月以降は障害者枠一本で行こうと決めました。障害者枠の中で、気になる会社を1週間に2~3社ずつ受けていきました。この頃から、かなりガクプロヘビーユーザーになっていきました。平日に行ける日は全部通ったと思います。なんとか年度内に決めたいということもありましたが、何より独りで考えていてもなかなか進まないので。
平日は、ESの添削や面接練習を徹底して行いました。一番ありがたかったのは面接練習です。自分の面接は、自分では客観的に振り返れないので、他者評価をもらったり、録画で振り返ったりするのがとてもためになりました。内容面だと、自分の障がい特性を説明する言葉を一緒に考えてもらったり。
自分は、ぼっち就活はとても危険だと思っています。ぼっちだと、迷宮入りしてしまう。仮に自分がぼっち就活をしていたら、もっと時間がかかっていたと思うし、面接での言動も頼りなくなっていたと思います。
また、一般枠で働けなくもないかなとも思ったが、とにかくリスクを避けたいと思いました。リスクというのは二次障害のことです。それだけは避けたかったです。
ガクプロの面接練習。ビデオに撮って、すぐに振り返ります。 |
就活を振り返ってみて、今何を思いますか?
自分はかなり外部の力を活用できたと思います。ガクプロや、学校の相談室を使えたことは本当に良かったです。大学の支援は、キャリアセンターだけでなく、相談室のカウンセラーの先生にもお世話になりました。自分のメンタル面での落ち込みを相談しました。愚痴っぽくなっていたかもしれませんが、自分でそれをため込むと悪循環になりそうだったから、言えてよかったです。
ガクプロでも、よくガス抜きをさせてもらいました。そして、ガクプロでは横のつながりもできたかなと思います。
これからのお仕事に対する期待や不安を教えてください。
ちゃんと仕事ができるかなとか、そういう不安はやっぱりあります。万が一、自分が上に立つことになったらどうしようとか…。ただ、仕事をきちんとして、自分の努力が報われるといいなと思います。
最後に、ガクプロの後輩に対してのメッセージをお願いします。
とにかく自分で抱え込まないことです。抱え込むと堂々巡りになりますから。とにかく、使える機関は使ってほしいし、話せる人には話したほうがいいと思います。自分は、部活の幹部のときに抱え込んで、周囲の人間とくらべて落ち込んだことがありました。でも、そのときの主将が自分のことを信頼してくれて、話して、楽になった部分はあって。そこで抱え込まないほうがいいんだということに気付きました。
ガクプロを卒業したら、キスド会(注:在職者向けのセッション。奇数土曜日に開催される)に来たいと思います。なかなか他に自分のことをオープンにできる場所がないので、これからも通いたいなと思っています。