Kaien新宿スタッフの東海林です。修了生インタビューシリーズの第2弾をお届けします。なお、「利用者の声」については当社のウェブサイトにも特集ページがありますので、こちらも是非ご覧ください。利用者インタビューやアンケート結果を掲載しております。
さて、今回は文具メーカーの企画系職種で働いていらっしゃるIさんにお話をうかがいました。Iさんは定型的に黙々と行うような事務作業に苦手感がある一方で、人とコミュニケーションを取るのが得意だったり、絵を描くのが得意だったりとても発想力の豊かな方です。
障害者枠雇用での求人の多くは事務系や軽作業など、どちらかというと定型的な業務のため、定型業務が苦手だとなかなか仕事が見つからないという経験をされた方もいらっしゃるのではないかと思います。そんな中、Iさんは独自の就職活動を行い、障害者枠としてはめずらしい企画系の部署に入社され、様々なイベント企画にも携わり「仕事が楽しい!」とイキイキと働いていらっしゃいます。どうしたらIさんのように自分に合った職種に就けるのか?をブログ読者の皆さまにもお伝えしたいと思い、訓練と就活についてお話をうかがってみました。
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Q. まず、なぜKaienで訓練を受けようと思ったのですか?
もともとは父親から勧められて知りました。当時はなんでこんなにできないんだろう、と自分自身が分からなくなって悩んでいたので、発達障害専門ということで、自分を分かってくれる人がいるということが魅力に感じました。
Q. Kaienの訓練内容でどのようなことが印象に残っていますか?
作業計画や日報などの報告メール類です。報告メールを打つことで、今日すべきことを整理することができました。予定や実績を書きだすということが、計画を達成する力を上げるのにプラスになるということが分かりました。予定を共有する意識や、書き方などは、今の仕事でも生きています。また、掃除当番も印象に残っています。(※Kaienではグループで交代しながら掃除をしています。各グループのリーダーも訓練生に務めていただいています。)自分たちでスケジュール確認して役割分担する中で、融通しあってスケジュールを調整したり、急な用事ができたときにシフト交換してもらったりなど、実際の会社でも良くあることが経験できたと思います。
訓練では全体の前で発表したり、リーダーとしてミーティングを仕切ることもあります |
Q. 就活で意識したことや大変だったことは何ですか?
企業側の気持ちになって、「こんな人がいたらいいんじゃないかな」ということを考えて、自分が望む話題や流れになるようにシナリオを作りました。また、応募書類以外に自分のことを分かってもらえるように作品集などを持ち歩いて、面接でそういう流れになったときにそれとなく出したりしました。今の会社の面接でもそれを実施しました。
Q. 今の仕事に就くことになった経緯を教えてください。
早く就職できたとしても、自分に合わない仕事をやっても長続きしないと思い、長く続けられる仕事に重点を置いて探していました。私は定型的な事務作業は苦手で、電話などでコミュニケーションをとったり交渉する仕事や、創造的な仕事がしてみたいと考えていました。求人はなかなかありませんでしたが、事務職の応募でも自分のやりたいことや得意なことを伝えたら、今の仕事に就くことができました。今の仕事は、Kaienに来なければたどり着けなかった仕事だと思います。以前は障害者枠という選択肢も考えておらず、自分で決めつけて限定していた部分を、専門的なスタッフに助けてもらうことで選択肢が広がりました。
Q. 今の仕事で一番心がけていることは何ですか?
その日一日、今日はこれを身につけようとか、学んで知ろうとかの目標を立ててカレンダーアプリで時間を決めて、漫然としないようにしています。これは訓練で日々書いていた日報の経験も参考にしています。また、会議に出てもまだ内容が分からないので、自分なりの議事録をとるようにしています。
Q. 就職された今、Kaienでの訓練期間をどのように振り返りますか?
本当にKaienに行ってよかったと思っています。それまでは昼夜逆転した生活をしていましたが、週5日来られるようになりました。これから訓練を検討している人には、「少し具合が悪くても行きましょう」ということを言いたいです。元気だから出かけられるのではなく、出かけているから元気になるのだと思います。また、訓練では自分のアイディアや自分で考えた企画などを発表するプログラムが印象に残っています。発表を聞いてもらい、他訓練生や講師からフィードバックをもらうことで自尊心が回復し、それによって自分の場合は過剰なおしゃべりが減りました。
Q.「仕事が楽しい」とよく言っていらっしゃるのが印象的ですが、どのように楽しいのですか?
部署で企画したイベントなどで、自社の製品を使って子供たちが楽しそうに、キラキラした目で絵を描いている様子を見ているときなどが非常に楽しいです。担当している業務は事務的な仕事も多いのですが、前述のようなところで役に立つための事務と考えると、どのような仕事でも楽しむことができています。
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Iさん、今回はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
冒頭にも書いた通り、障害者枠での求人は定型業務が多い実状ではあります。しかしそんな中でも、よりご本人の適性に合う仕事を探すお手伝いをしたり、自分に合わない仕事を目指している方にはより合う仕事をご提案することで、利用者の皆さまが「仕事楽しい!」と思って働けるようにサポートさせていただきたいと、Iさんのお話しを聞いて改めて強く感じました。