面接の志望動機の作り方とは?盛り込むべき内容や例文を解説

2025.2.13

就職の面接において、志望動機は必ずといってよいほど尋ねられるため、しっかり準備しておきたいところです。しかし、志望動機が思いつかなかったり、形式的な内容になったりしてしまう場合もあるでしょう。

本記事では、面接で志望動機を聞かれる理由や話すべき内容から、志望動機を作成する3つのステップ、効果的な伝え方、例文まで、必要な知識をまとめて分かりやすく解説します。ぜひお役立てください。

面接で志望動機を聞かれるのはなぜ?

面接に臨む際は、なぜ志望動機を聞かれるのか理由を知っておくことが大切です。企業側の意図を理解しておくと、的確な返答がしやすくなり、好印象を与えやすくなります。

志望度を確認したいから

企業は、応募者が自社で働きたい気持ちがどれほど強いのか知りたいと考え、志望動機を聞きます。志望度が高い人材は入社後に能力を発揮しやすいため、短期間で戦力化でき、長期的な成長も見込めるためです。また、内定辞退や短期離職の可能性が低い傾向もあります。

そのため、企業は「なぜこの企業を選んだのか」「どのように自分の経験やスキルを活かせると思うか」といった質問を通じて、志望度の高さを測ろうとします。

企業とマッチしているか知りたいから

企業は、応募者が自社の価値観やビジョン、求める人物像にどれほど適合しており、長く働いてもらえるか知るために志望動機を尋ねます。志望動機には応募者の価値観や考え方が反映されやすいため、企業や業務内容とのマッチングを見極めるのに適しているのです。

例えば、「御社の地球環境への取り組み、特に再生可能エネルギーの普及活動に共感しました。私も大学で環境保全を学んでおりましたので、この分野で社会に貢献したいと考えています」と答えれば、企業理念や活動内容への理解が深く、適合度が高いと判断されやすいといえるでしょう。

面接の志望動機に盛り込むべき内容と基本的な構成

面接の志望動機を伝える際は、以下の基本構成と流れを意識するとよいでしょう。必要な内容を盛り込みつつ、説得力のある説明ができます。

最初に、結論として「入社後に何をしたいのか」を端的に伝えます。長期的な目標やなりたい自分像を伝えるのが一般的です。

次に、結論の根拠として「企業にどのように貢献できるのか」を、過去の経験やスキルを基に説明します。学校や前職の経験や、身に付けた資格やスキルを交えて伝えると効果的です。

しかし、これだけでは「なぜこの企業を志望するのか」が伝わりません。そこで、応募企業の魅力や志望した理由を、企業理念、事業内容、実績などに触れながら説明しましょう。

最後に、もう一度結論を伝えます。入社後に何をしたいのか、企業の目標や求める人材像と関連付けてアピールするのがポイントです。

具体的な例文は後ほど紹介します。

志望動機を作るための3つのステップ

面接官に好印象を与える効果的な志望動機を作成するには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、以下の3ステップに分けてポイントを解説します。

  1. 企業選びの軸や自分の強みを明確化する
  2. 気になる企業の特徴や強みを調べる
  3. 自分の強みや軸と企業の特徴・強みがマッチする箇所を探す

1.企業選びの軸や自分の強みを明確化する

初めに明確にする必要があるのが、企業選びの軸と自分の強みです。企業選びの軸を持つことで、「なぜその企業を選んだのか」を具体的に説明できるようになります。また、自分の強みを把握すれば、企業への貢献方法を的確に伝えられます。

企業選びの軸や自分の強みを明確にするには、自己分析が欠かせません。過去の経験やモチベーションの変化を振り返り、自分が大切にしたい価値観を整理してみましょう。これにより、本当に働きたい企業を絞り込めます。

さらに、アピールできる経験や実績、スキルを紙に書き出すなどして洗い出しましょう。企業側から見た自分の強みを客観的に分析する視点が大切です。

2.気になる企業の特徴や強みを調べる

次に、志望企業の特徴や強みを調べます。企業リサーチは、志望動機に具体性を持たせるために欠かせない作業です。また、自分のスキルや目標と企業の事業との間に接点を見つけられるようになります。これにより、志望度の高さをアピールするとともに、適合度の高い人材として評価されやすくなるでしょう。

リサーチ方法としては、コーポレートサイトや求人情報を活用して、企業理念や事業内容、求める人物像などの公式な情報を確認する方法が挙げられます。新製品やプロジェクトに関する最新のニュースをプレスリリースで調べるのも良い方法です。

ただし、これらの材料だけで志望動機を作成すると、独自性のない表面的な内容になりやすい点に注意が必要です。可能であれば、企業説明会やOB・OG訪問などを通じて、生の声を聞くとよいでしょう。企業や業界に詳しい就職支援機関のアドバイザーから話を聞く方法もあります。

3.自分の強みや軸と企業の特徴・強みがマッチする箇所を探す

続いて、自分の強みと企業の特徴・強みがマッチする箇所を探しましょう。マッチする箇所を中心に志望動機を作成することで、入社後の自分の活躍や貢献を具体的にアピールできます。

マッチする箇所を探すには、事業内容や特徴の深掘りが欠かせません。自分の経験やスキルを活かせる事業や業務がないか、探してみましょう。

この際、企業が求める人物像と自分の強みの一致点を見つける視点も大切です。例えば、ポテンシャルの高い人材を求めている企業には、「最先端の技術に触れたい」といった成長意欲の高さを志望動機に含めると良いでしょう。有望な人材だと思ってもらえると、採用の可能性が高まります。

面接で志望動機を伝えるときのポイント

質の高い志望動機を作成できても、伝え方が悪ければ面接官に良い印象を与えられません。そこで、面接で志望動機を伝えるときの5つのポイントを紹介します。

結論から話す

結論から話すと志望動機の要点が明確になり、何を伝えたいのかを面接官に把握してもらえます。「御社を志望した理由は〇〇です」のように、志望動機の中核をシンプルに伝えられるように準備しておきましょう。

「結論→理由→具体例→再結論」の順に伝える手法はPREV法と呼ばれ、ビジネスシーンでもよく用いられています。結論から志望動機を伝えると、相手に伝わりやすいだけでなく、社会人としてのコミュニケーションスキルが備わっていると評価されます。

聞き取りやすい声量・スピードで話す

志望動機は内容が大切ですが、聞き取りやすい声量とスピードも重要なポイントです。

適切な声の大きさを練習しておきましょう。大きすぎる声は威圧感を与え、落ち着きがないと感じられる可能性もあります。逆に小さすぎる声は、聞き取りにくく、自信がないように思われるため注意が必要です。

また、適切なスピードは1分間に300文字前後です。ニュースを読むアナウンサーのスピードが300文字前後ですので、目安にするとよいでしょう。緊張で早口になりやすい場合は、意識的に間を取るようにします。

長く話しすぎない

志望動機を述べる時間は、一般的に1~2分程度とされています。長すぎる話は要点がぼやけ、途中で興味を失われる可能性がありますし、短すぎるとそっけなく熱意が感じられないため、1~2分程度がちょうど良いでしょう。

簡潔な回答は、話をまとめる力を示し、面接官にポジティブな印象を与えます。要点がしっかり伝われば面接官は追加質問ができるので、すべてを伝える必要はありません。細かな理由やエピソードは深堀りの質問に備えて取っておくとよいでしょう。

入社の意志を示す

意外に忘れがちなのが、志望動機の中で入社の意志を示すことです。「○○という理由で、御社に入社したいと思いました」のように、明確に意思表明しましょう。

面接官も人間ですので、似た条件の応募者を比べた際は、入社を強く希望する人のほうを採用したいと考えます。「面接に来ているのだから、入社したいのは当たり前」などと思わず、口に出して熱意を伝えることが重要です。

稚拙な言い回しになりそうな場合は、「私は〇〇という経験を通じて、御社の△△に魅力を感じました。そのため御社に入社し、□□の分野で貢献したいと考えています」といったように、流れの中で入社の意志を示すのも良い方法です。また、「○○プロジェクトに参加したい」「営業として働きたい」といった具体的な伝え方もあります。

関連する質問についても準備する

面接官は志望動機に関する回答だけでなく、深掘り質問を通じて応募者の本音や理解度を確認したいと考えています。そのため、関連する質問に答えられる準備もしておきましょう。

準備の方法としては、志望動機を書き出し、内容ごとに5W1Hを軸に想定問答集を作成するのが効果的です。例えば、「御社の環境事業への取り組みに感銘を受けました」という内容に対しては、「なぜ感銘を受けたのですか?(Why?)」「具体的にどこに感銘を受けたのですか?(Where?)」のように深掘り質問を考え、回答を準備します。

面接に活用できる志望動機の例文

ここからは、実際のシチュエーションを想定して、志望動機の例文を紹介します。応募企業に合わせてアレンジするための参考にしてください。

同業界・同業種への転職の場合

同じ業界、職種に転職する場合の例文を以下に示します。

【例文(IT企業の営業職)】

「私はこれまで培った経験を活かし、よりお客様のニーズに応える提案を行うことで、社会や企業に貢献したいと考えています。

現在までに、法人向け営業職として5年間勤務し、顧客との信頼関係を築きながら、年間売り上げを25%向上させる成果を上げました。一方で、提供できるサービスが限定的であることにもどかしさを感じていました。

貴社は幅広い商品ラインナップと柔軟なソリューション提案が可能であり、顧客の多様なニーズに応える姿勢に魅力を感じています。

これまで培った課題解決力と顧客との信頼構築スキルを活かし、貴社の営業チームに貢献したいと考えています。」

このように同業界・同業種への転職の場合、即戦力としてのスキルをアピールするのがポイントです。

異業種への転職の場合

続いて、同じ業界で違う職種に転職する際の例文を紹介します。

【例文(IT業界のプログラマー→IT業界の営業)】

「御社の営業職として、ITの専門知識を活かし、顧客の課題解決に直接携わりたいと考えています。特に、お客様のニーズに応じたソリューションを提案し、信頼関係を築くことにやりがいを感じています。

前職では、プログラマーとして5年間、ソフトウェアの設計・開発に携わりました。プロジェクトの一環で顧客対応を経験し、要件のヒアリングや調整を担当した際、「もっと直接的に顧客に寄り添いたい」という気持ちが芽生えたことが、営業職を志望する理由です。

御社の営業職は単なる販売活動にとどまらず、顧客との長期的なパートナーシップを築くスタンスを取られている点が、自分の目指す営業像と一致しています。

これまで培ったプログラミングやシステム設計の知識を活かし、顧客の課題を技術的視点からも支援できる営業を目指したいと考えております。」

同業界・異職種への転職では、新たな職種が自分によりふさわしいと説得できる内容がポイントです。

異業界への転職の場合

次に、異業界の同じ職種に転職する場合の志望動機を紹介します。

【例文(法律事務所の事務職→葬儀会社の事務職)】

「御社のバックオフィス業務を通じて、人々が安心して人生の節目を迎えられる環境を作りたいと考えています。葬儀業界で働くことで、誰もが避けられない人生の大切な瞬間を支えたいと思ったからです。

現職では法律事務所で文書管理やスケジュール調整、来客対応を行い、顧客に寄り添う対応を心がけてきました。その際に顧客から「安心した」と感謝されることも多くあり、人生の重要な場面に立ち会う御社のような仕事に従事したいという思いが強くなりました。

御社の「心のこもったサービス」という理念や地域密着型の取り組みに深く共感しております。これまで培ったスケジュール管理や文書作成のスキルを活かし、御社の一員として信頼されるサービスの実現に貢献したいと考えています。」

異業界・同職種への転職の場合、応募企業の業務の中で職業能力を活かせる部分を見つけてアピールするとよいでしょう。

未経験の業界・業種への転職の場合

次に、異業界・異職種に転職する場合の例文を紹介します。

【例文(小売業界の販売職→食品メーカーの商品開発)】

「これまでの小売業界での販売職の経験を活かし、異業種である食品メーカーの企画部門で商品開発に挑戦したいと考えています。

私は小売業界で5年間、販売職としてお客様と直接向き合い、売れ筋商品や顧客ニーズの分析を行いながら売り場づくりを担当してきました。しかし、商品自体にかかわる機会がなく、「もっと商品企画や開発の段階で顧客ニーズを反映できる仕事がしたい」と思うようになり、食品メーカーへの転職を決意しました。

御社は顧客の声を大切にし、現場からの意見を積極的に商品開発に取り入れておられると思います。また、地域に根ざした商品を数多く展開している点にも強く惹かれました。

入社後は、販売職で培った「顧客目線」を活かし、顧客ニーズに即した商品企画を提案したいです。また、これまでの販売現場で得た「どのような商品が売れるか」の実感を基に、開発チームと連携し、より魅力的な製品を生み出す一助となりたいと考えております。」

専門的なスキルでも、業務全般に役立つスキルとして説明すれば、異業界・異職種への転職でも効果的なアピールになります。

面接の志望動機に関するよくある質問

ここでは、面接の志望動機に関するよくある質問について解説します。

履歴書と同じ内容でもいい?

面接は履歴書や職務経歴書に基づいて進行します。履歴書と違うことを話すと、一貫性がないと判断される可能性があるため、基本的に同じ内容を話しましょう。

ただし、履歴書には限られた文字数しか書けないため、同じ内容を繰り返すだけでは間が持ちません。履歴書では省略した具体的なエピソードや、志望動機の背景などを詳しく伝えられるように準備しておきましょう。

例えば、苦労や成長が伝わる体験談や、実績が分かるデータなどを準備しておくと、履歴書の志望動機を詳しく伝えられ、深掘り質問にも対応しやすくなります。

面接の段階によって変えたほうがいい?

志望動機は面接の段階が進んでも基本的に変える必要はありません。一貫性がないと判断され、信頼性が損なわれる可能性があるため、1次面接から最終面接まで、志望動機の「軸」をしっかり保ちましょう。

ただし、選考が進むにつれて、質問が具体的に掘り下げられる傾向があります。面接官の意図を把握し、求められる情報量や深さに応じて適切に答えられるよう準備しましょう。

例えば、1次面接では人事担当者が多く、志望度や企業理解の深さを伝えることが重視されます。一方、2次面接や最終面接では経営層や現場責任者が相手となる場合が多く、これまでのスキルや経験を具体的にどう事業に活かせるかを説明する必要があります。

就労移行支援では面接の対策も可能

就労移行支援は、障害を持つ方が一般企業での就職を目指す際に利用できる福祉サービスです。利用者は支援事業所に通い、職業訓練や就活サポート、さらに就職後の定着支援まで総合的なサポートを受けられます。

例えば、発達障害*や精神疾患が原因で「面接がどうしてもうまくいかない」「一般的な就労支援では不安」などの課題をお持ちの方に向いています。障害者手帳がなくても、特性が見られるグレーゾーンの方も利用可能です。

就活支援のサポートは、求人紹介や自己分析のサポート、応募書類の作成支援など多岐にわたり、面接対策や模擬演習も含まれます。面接対策では、志望動機作成のアドバイスを受けたり、障害特性の強みや弱みについて相談したりできます。

また、スタッフが面接官役を務める面接の模擬演習では、リアルな練習が可能です。フィードバックを受けることで、回答内容や態度を改善できるでしょう。自分で気付かなかった弱点を指摘してもらえるため、採用の可能性が大きく高まる場合もあります。

面接は十分に準備して臨もう

面接は、企業に自分の魅力を伝える場であり、採用の合否を左右する重要なステップです。事前の準備を重ね、志望動機や自分の強みを的確に伝えられるようにしていきましょう。

現在障害を抱えており、一般的な就職支援では不十分と感じる方には、就労移行支援を活用する方法があります。

Kaienは、発達障害の方の強み・特性を活かした就職のサポートをしています。Kaienでは、専門的な知識を持ったスタッフが面接官役となる公開面接練習や、面接会の流れを体験できる模擬面接会を実施しています。

そのほか、応募書類の作成支援や、就活に役立つ講座の受講やグループワーク、発達障害の強みを活かせる求人紹介など、総合的な支援を実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

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