人と関わらない仕事はある?うつ病の方の仕事探しのポイントや求人の選び方

公開: 2025.3.19更新: 2025.3.19

うつ病は気分が落ち込んだり、眠れなくなるなどの身体症状が現れたりする気分障害の一つです。仕事で人と関わりたくないと感じるときは、原因にうつ病が関係しているのかもしれません。人と関わらない仕事の探し方を知り、自分に合った働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事では、うつ病の症状や人と関わらない仕事の種類、仕事探しのポイントなどについて解説します。うつ病の方が利用できる支援機関も紹介しているので、仕事や人間関係に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

人と関わりたくないのはうつ病が原因?

仕事などで人と関わりたくなくなるのは、必ずしもうつ病のせいとは限りません。しかし、うつ病の行動パターンの一つに、周囲とのコミュニケーションや接触の機会を避ける傾向があります。

うつ病は医師の診断が必要な病気なので、安直に自己判断するのは禁物です。まずはうつ病の症状を知り、自分に当てはまるかどうかを確かめてみましょう。人と関わりたくなくなる以外にも気になる症状があれば、医療機関の受診をおすすめします。

次項で、うつ病でよく見られる症状と、その他の障害の可能性について解説します。

うつ病の症状

うつ病は主に、精神的症状と身体的症状が現れます。うつ病の際に見られる、主な身体的症状は以下のとおりです。

  • 思うように眠れない、起きられない
  • 食欲をコントロールできない
  • 頭や首、肩が重く体がだるい
  • 疲れやすく疲れがとれない

主な精神的症状としては以下が挙げられます。

  • 気分が落ち込み憂うつになる
  • 不安を感じて落ち着かなくなる
  • 感情表現が乏しくなる
  • やる気が出ない
  • 悲観的になる

このように、うつ病になると身体的にも精神的にもさまざまな不調が現れ、日常生活や仕事に大きな影響をおよぼします。

人と関わりたくないのは発達障害など他の障害の可能性も

人と関わりたくないと感じる原因がうつ病ではなく、他の障害にある可能性も考えられます。

例えば、発達障害*の方は特性によりコミュニケーションに苦手意識がある場合が多いです。発達障害にはADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)、SLD(限局性学習症)などの種類があり、それぞれ特性は異なります。なかでも、ASDの方は言葉や感情表現のニュアンスを汲み取るのが苦手な傾向があったり、過度に気を遣いすぎて疲弊してしまったりするケースがあり、コミュニケーションの難しさにつながっています。

こうした発達障害の生きづらさにより、二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症するケースも珍しくありません。二次障害として発症したうつ病の場合は、うつ病の治療のほかに発達障害へのアプローチも必要です。

発達障害の二次障害については、以下の記事も参照ください。

発達障害の二次障害とは?症状と種類、予防法や支援機関を解説

人と関わらない仕事は何がある?

世の中には人とあまり関わらなくてもできる仕事があります。うつ病でコミュニケーションや人間関係に悩んでいる方は、人と関わらない仕事に従事することを検討するとよいでしょう。

ここからは、人と関わらない仕事を3つのジャンルに分けて紹介します。

在宅でできる仕事

IT技術の進歩やDX推進の影響で、近年は在宅でできる仕事の種類も増えています。在宅ワークならオフィスで同僚や上司と顔を合わせる必要がなくなり、コミュニケーションのストレスを軽減できるでしょう。

在宅でできる仕事の例としては、WebライターやWebデザイナー、プログラマーなどが挙げられます。その他の職種でもリモートワークOKの場合があるため、自分の得意な分野で在宅可の求人を探してみるとよいでしょう。

一人で黙々と進められる仕事

一人で黙々と進められる仕事も、人との関わりが少ないためおすすめです。技術や知識を身につけ、単独で作業を進められるようになれば、業務中のコミュニケーションを避けて仕事を完結できます。

一人で黙々と進められる仕事の例としては、単純作業のデータ入力や、IT関連のシステムエンジニアなどが挙げられます。一人で業務が行える仕事は優先順位付けや管理能力が必要となるため、自分の能力や性格に合った仕事を探してみましょう。

コミュニケーションが少ない仕事

コミュニケーションが少ない仕事は、「接客しない」「社員と関わらない」の2種類に大きく分けられます。接客しない仕事には、経理や工場・倉庫作業、清掃員などがあります。社内の人と関わる機会はありますが、接客によるストレスは感じずに済むはずです。

社員と関わらない仕事の例としては、警備員や新聞配達などが挙げられます。検針員のように、顧客とも職場の人ともあまり関わらず、一人で淡々と作業を進められる仕事もあります。

うつ病の方が人と関わらない仕事をするうえでの注意点

人と関わらずにできる仕事に従事する場合、オフィスで行うような仕事とは異なる点に注意が必要です。うつ病の方は、注意点を確認したうえで人と関わらない仕事を検討しましょう。

ここでは、うつ病の方が人と関わらない仕事をするうえでの注意点を3つ紹介します。

自己判断で治療をやめない

人との関わりが少なくなり、仕事のストレスが減るとうつ病の症状が落ち着いてきたと感じる場合もあるでしょう。しかし、うつ病は再発しやすい病気なので、自己判断で治療をやめてしまうのは危険です。症状が治まった、よくなったと思っても、医師の指示があるまでは治療や服薬を続けるようにしてください。

医師の治療と並行して、自身で症状改善の対策に取り組むことも重要です。規則正しい生活を心がけ、軽い運動などで適度にストレスを発散するとよいでしょう。

困ったとき相談しづらい

仕事でトラブルなどが起きたときなど、人に相談しづらいことも注意点の一つです。人との関わりが少ないということは、その分相談できる相手も少ないということです。何か問題があったときや困りごとがあったときに、自分で対処する対応力が求められます。

問題を解決できずに一人で抱え込んでしまうと、そのことが心身の負担につながります。うつ病の症状悪化にも発展しかねないため、仕事選びは慎重に行いましょう。

自己管理能力が問われる

人と関わらない仕事に携わる方には、自己管理能力が求められます。一人で進める仕事の場合、スケジュールや業務の進捗を共有しないため、自己責任で計画的に働かなくてはなりません。また、体調を崩したときに仕事を代わってもらうのが難しいことから、体調管理も重要です。

自己管理能力が十分でなく、業務に支障をきたすと、次回から仕事を任せてもらえなくなる場合もあります。人と関わらない仕事では、自分を適切に管理する責任感が大切だといえるでしょう。

うつ病の方が人と関わらない仕事を探すポイント

うつ病の方が仕事を探すときは、自身の状態を見極めながら無理のない範囲で活動することが重要です。障害者雇用や支援制度など、福祉サービスをうまく活用しながら自分に合った仕事を見つけるとよいでしょう。

ここからは、うつ病の方が人と関わらない仕事を探すときのポイントを4つ紹介します。

無理をせず、まずは休養を

働いていない期間は、経済的な面で不安を感じるかもしれませんが、うつ病は治療が最優先です。無理してすぐに仕事を始めようとせず、まずは十分に休養をとることを心がけましょう。仕事のことは考えず、ストレスを感じないように生活することが重要です。

休養をとった後もうつ病は再発しやすい病気のため、いきなりフルタイムで働くのではなく、徐々に活動量を増やすようにしましょう。無理をせず少しずつ社会復帰していくことが大切です。

求人内容をよくチェックする

人と関わらない仕事に応募する前に、求人内容をよく確認することも大切です。職場との相性が合わないと、うつ病の症状が悪化してしまう恐れがあります。まずは就労時間や職場環境、業務内容などを求人でよく確認し、自分の希望条件と突き合わせましょう。

同時に、どのような場面でストレスを感じやすいのか、自分の性質を把握しておく必要があります。ストレスを感じにくい業務内容で、無理なく働ける仕事を探してみてください。

障害者雇用を視野に入れる

うつ病で障害者手帳を取得している場合、障害者雇用を検討するのも一つの方法です。障害者手帳を持っている方は、一般雇用のほかに障害者雇用の求人に応募できるようになります。

障害者雇用で働くメリットとしては、職場での理解を得やすく合理的配慮を求めやすいことが挙げられます。合理的配慮とは、障害のある方が障害のない方と同等に社会生活を送れるよう、個々に応じて提供される配慮のことです。

障害者雇用なら、うつ病の症状に応じて勤務時間を調整してもらうといった融通が利きやすいです。働きやすい環境を求める方は、障害者雇用を視野に入れて就職活動を行うとよいでしょう。

支援制度を活用する

うつ病を治療しながら就活を行うと、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったりすることもあるでしょう。一人で就活に取り組むのが難しい場合は、支援サービスを活用するのがおすすめです。

うつ病の方が就活の際に利用できる支援機関としては、主に以下が挙げられます。

  • 就労移行支援事業所
  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域若者サポートステーション

これらの支援機関には精神疾患などの障害に対する専門知識を有したスタッフが在籍しており、就活の悩みに応じて適切なアドバイスやサポートをしてくれます。障害者雇用の求人を多く扱っている就労移行支援事業所などを利用し、就活を有利に進めるとよいでしょう。

Kaienの支援サービス

Kaienでは、障害のある方を対象に就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などのサポートを実施しています。うつ病で人と関わらない仕事を探している方も、Kaienのサービスを利用すれば効率よく就活ができるでしょう。

以下で、Kaienの就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の支援内容を紹介します。

Kaienの就労移行支援

Kaienの就労移行支援では、多彩なカリキュラムで利用者の就職をサポートしています。就活支援では専門スタッフが面接の練習や同行を行っており、独自の障害者雇用求人も取り扱っています。

カウンセリングはモチベーションや生活リズムの管理をメインに実施しており、うつ病の症状改善にも役立ちます。プログラミングや生成AIといった人気ジャンルで学習やスキル習得ができることも魅力の一つです。

Kaienの就労移行支援ではこれまでに2,000人超の就職実績があり、就職後半年の定着率も95%を誇っています。「人と関わらない仕事がしたい」という希望に沿ったサポートも可能なため、ぜひ利用をご検討ください。

Kaienの自立訓練(生活訓練)

Kaienの自立訓練(生活訓練)では、まだ働く自信のない方や生活リズムを身につけたい方などを対象に、自分を見つめなおして視野を広げ、未来を再設計するプログラムを提供しています。見学・体験プログラムの種類は100以上で、生活スキルやコミュニケーション能力など、社会を生きるうえで役に立つ能力が養えます。

感情や睡眠のコントロール、お金の管理など、課題に応じたトレーニングができることもポイントです。自分に合った進路を見つけるために、地域の職場や施設を見学することもできます。Kaienの自立訓練(生活訓練)を通して、自分の将来について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

うつ病のときは人と関わらない仕事も選択肢に

うつ病でコミュニケーションをとることが負担になる場合は、人と関わらない仕事を選ぶことも一つの方法です。在宅でできる仕事や一人で進められる仕事など、ストレスの少ない仕事を探してみるとよいでしょう。うつ病の方が仕事を探す際は、各種支援機関が利用できるため、専門スタッフに相談しながら適切な進路を見つけてください。

Kaienでは見学・個別相談会を随時実施しています。仕事探しで悩んでいる方は、Kaienの就労移行支援や自立訓練(生活訓練)の利用をぜひご検討ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

この記事を読んだあなたにおすすめの
Kaienのサービス