発達障害*など、さまざまな障害がある人が就労のサポートを受けられる就労移行支援をご存じでしょうか? 就労移行支援を利用することで、自身の特性を活かした職場に出会えるチャンスが広がります。
厚生労働省が公開したデータによると、2023年に就労移行支援を含む就労系障害福祉サービスから一般就労への移行者数は、約2.7万人でした。移行者数は年々増加しており、就労移行支援の利用による就職率の高まりが期待されています。
本記事では、就職先探しに就労移行支援をおすすめする理由や、就労移行支援事業所や就職先を探す際のポイントについて解説します。就職先の幅を広げ、新たな一歩を踏み出したいと思っている人は、ぜひ最後まで読み進めてください。
出典:厚生労働省「一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)」
就職活動をサポートする就労移行支援とは
就労移行支援とは、障害がある人の就労サポートや訓練、就活支援などのサービスの総称です。うつ病や統合失調症といった精神疾患や、自閉スペクトラム症などの発達障害、まだ診断を受けていないグレーゾーンの人も対象となります。
障害が原因で休職・無職になっている場合、いきなりの就労は難しいでしょう。社会に対する不安や、仕事で求められているスキル不足など、様々な困りごとを抱えている人が多いです。就労移行支援を利用することで、就労に対するリハビリやスキルアップを目指せます。
就労移行支援には、具体的に以下のようなサービスがあります。
- 相談(専門的なカウンセリング、個別相談など)
- 就職活動のサポート(求人選定、選考フォローなど)
- 職業訓練(模擬職場でのトレーニング、各種講座の受講など)
- 定着支援(職場訪問、就職後の生活サポート)
このように、障害を抱えながら就職活動をしている人にとって、就労移行支援は非常に心強いサービスなのです。
就労移行支援を利用した主な就職先
就労移行支援を利用した人の就職先はさまざまです。A社とKaienの2つの事業所の主な就職先を見てみましょう。
A社 | Kaien |
・事務・軽作業・接客・販売・営業・福祉・清掃・技術職・その他 | ・コンサル・サービス・IT・ハイテク・金融・保険・不動産・建設・流通・小売り・公的機関・メーカー・運輸・交通・マスコミ・広告・その他 |
A社の場合は一般就労の求人が多い業種が名を連ねています。一方、Kaien でもこれらの求人を取り扱っていますが、それ以外にも他社にはない専門的な業種の求人が多様に揃っています。
扱っている求人や業種の数が多いと、自分では考えていなかった職種ともマッチングでき、それが実は天職だったということも少なくありません。まだ見ぬ可能性に出会い、就職先の幅を広げることも可能です。
Kaienを利用された方の体験談を紹介しているページもありますので、ぜひ下記リンクからチェックしてみてください。
就職先探しに就労移行支援をおすすめする理由
就労移行支援を利用する場合、個々のペースに合わせて以下の3つのステップを経て進められていきます。
- 就職前の職業訓練
- 就職に向けた就活支援
- 就職後の定着支援
Kaienの場合、職業訓練は経理や人事、軽作業などの人気職種から、プログラム・デザインを極める専門コースまで、100種類を超える職種を体験できます。職業訓練を通して、就職前に自分に合った職業への理解を深め、就職先の候補を絞ることが可能です。
また、ビジネススキルを始めとするさまざまなスキルアップ講座も、50講座以上開設しています。毎日実施しているので、自分の強みと弱みを理解して、実践的に対処方法を身につけられます。
独自求人を含む求人情報も豊富で、障害に理解のある200以上の企業と連携し、未経験プログラマーやデータ入力、在宅勤務など、各種求人を取り揃えています。担当カウンセラーが二人三脚でサポートしてくれるため、就職先探しも安心です。
このように、障害のある人にとって利用のメリットが多いことが、就労移行支援の利用をおすすめする理由です。
就労移行支援を利用して就職した事例
ASDの診断を受けているOさんは、これまで病院のリハビリ施設や一般社団法人の事務局で働いてきました。発達障害に気づいたきっかけは、訪問看護ステーションで担当したお子さんの様子が、幼少期の自分と重なって見えたことだったといいます。
Oさんにとって、臨機応変な対応や口頭での指示を理解することが難しく、医療業界での仕事は苦手なことの連続でした。そんな中、テレビのニュース番組で、Oさんが関心を持っていた企業とKaienが連携を始めたという報道を目にし、就労移行支援の利用を決意します。
Kaienでは、自己分析やグループワーク、パソコンスキルの訓練などを受けながら、自分に合った働き方を模索。特に、担当者とのマンツーマンで行った自己分析が非常に効果的だったと振り返っています。結果として第一希望だった企業への就職が実現し、現在は希望していたAI関連の仕事で生き生きと活躍されています。
関連記事:自己分析が、自分を知るきっかけに!Oさんが“第一希望の会社”に就職できた理由
就労移行支援事業所の選び方のポイント
適職を探すためにも、就労移行支援事業所選びは重要です。ここでは、数ある事業所の中から、自分に合った事業所を選ぶポイントを5つ紹介します。
就職率・定着率の実績をチェック
就労移行支援事業所のホームページなどを見る際に、就職率と定着率はチェックしておきましょう。2つの実績を見ておくことで、どれくらい就職に強い就労移行支援事業所か、ある程度は把握できます。例えば、Kaienでは就職率86%、定着率95%と他社よりも2~3割高い数値です。
ただし気をつけたいのは、就職率の出し方は事業所によってさまざまであるという点です。過去3ヶ月の平均で提示する事業所もあれば、途中で辞めた人はデータから省くなど、提示方法に決まりがないため基準があやふやになっています。
有効な質問方法として、1年間の利用者数や退所数、通い続けたけれど就職に結びつかなかった人数を聞くのもおすすめです。母数からこれらの数字を引けば就職率がわかるので、忖度のない数値を把握できるでしょう。
職業訓練などの支援の充実度
職業訓練やスキル向上の講座など、支援の充実度も大切です。支援の種類や内容が充実しているほど、就職への不安や困りごとも少なくなっていきます。選ぶポイントとしては、職業訓練の種類や講座数が重要な指標になります。数が多ければその分、適職に出会えるチャンスも広がるでしょう。
Kaienの場合、職業訓練では100を超える職種を体験でき、スキルアップ系の講座も50を超えています。もちろん、ただ数が多いだけでなく、障害を理解した実践的なカリキュラムばかりです。充実したプログラムにより、現在就労への自信がない人でも、安心して就活準備を始められます。
独自求人の有無や求人数
求人情報も、就労移行支援事業所を選ぶポイントとして挙げられます。独自求人とは、他の事業所には出していない、その事業所でしか受けられない求人です。事業所の求人情報を見るときには、以下に着目しましょう。
- 求人情報数の多さ
- 障害に理解を示す会社の数や独自求人数
例えばKaienであれば、発達障害や精神疾患に理解のある200社以上の企業と連携しています。そのため、障害のある人でも働きやすい独自求人の紹介も可能です。
また求人数自体も多く、コンサル、サービス、IT・ハイテクなど業種も豊富です。母数が大きいため、自分に向いている職業に出会える可能性も高まります。
担当カウンセラーとの相性
担当カウンセラーとの相性も重要となります。就労移行支援では、就職先をカウンセラーと相談しながら決めるのが基本です。そのため、担当カウンセラーとの相性は就職の結果にも直結します。
カウンセラーの見極めは相性だけでなく、会社の方針やスタッフの経験も見るようにしましょう。会社の方針は、ホームページに記載されています。方針を理解することで、どのように寄り添ってくれるかも見えてくるでしょう。
Kaienでは、サポートについて5つの方針を定めており、個人のペースや強みを尊重しています。また、専門的な知識を持つスタッフが多数在籍し、63%が50人以上の発達障害の支援経験者、87%のスタッフが社会福祉士などの専門資格保有者です。スタッフが充実していれば、信頼できるカウンセラーに出会える確率も高まるでしょう。
利用者の口コミを確認
利用者の口コミを確認することで、事業所の満足度がわかります。口コミを確認する際には、以下をチェックしましょう。
- 口コミを書いた人の診断名・症状
- 利用した就労移行支援事業所の所在地
- 就労移行支援を利用した際のスケジュール・プログラム
- 就職後の状況
利用者の口コミを確認する際は、複数の口コミを確認することが大切です。また、診断名だけでなく、自分の状況と似た人を探すようにしましょう。同じ悩みや困りごとを抱えている人のリアルな声を聞くことで、事業所での支援や就活の進め方がよりイメージしやすくなります。
事業所見学や体験の利用
正式に利用を決める前に、事業所の見学や体験に参加するのがおすすめです。多くの事業所では見学や体験の機会を設けているため、気になる事業所があればまずは問い合わせてみましょう。
実際に足を運ぶことで、アクセスのしやすさや支援員の対応、利用者の雰囲気などを直接確認できます。また、不安な点や気になることがあれば、その場で質問できるのも大きなメリットです。自分に合った環境かどうかを判断するためにも、事前の見学や体験はとても大切です。
Kaienでも、無料の見学・個別相談会を実施しています。関東・関西圏を中心に複数の事業所を展開しておりますので、お近くにお住まいの方はぜひお気軽にご相談ください。
就労移行支援を利用して就職先を探す際のポイント
就職活動では焦りや不安から、自分に合わない職場を選んでしまうケースも少なくありません。このような事態を避けるために、いくつか意識しておきたいポイントがあります。
ここでは、就労移行支援を利用して就職先を探す際のポイントを紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
特性にあった職種選びを行う
まず大切なのは、自分の特性をしっかり見極め、それに合った職種や企業を選ぶことです。焦って自分に合わない職場に応募してしまうと、ミスマッチからストレスが溜まったり、うまくいかない経験が続いたりして、自信を失う原因になりかねません。
仮に就職できたとしても、自分の特性と合わない業務内容だった場合、長く続けられず早期退職に繋がってしまう可能性もあります。こうしたリスクを避けるためにも、就職活動を始める前の自己分析は非常に重要です。
就労移行支援ではスタッフと一緒に自己分析や特性への理解を深めることができるため、不安がある方はぜひ活用してみましょう。
業界や業種を絞りすぎない
就職活動を始めると、「この業界で働きたい」「この業種しか興味がない」といった希望を強く持つ方もいるかもしれません。もちろん希望を持つことは大切ですが、業界や業種を絞りすぎると、求人数の少なさや競争率の高さから就職活動が難航するおそれがあるため注意が必要です。
特に人気のある業界や業種は倍率が高くなり、なかなか内定がもらえないケースもあります。こうした場合には、自分の特性に合いそうな業界や業種に幅広く目を向けてみましょう。柔軟な視点を持つことで、自分に合った仕事に出会える可能性が広がります。
就労移行支援事業所のスタッフを頼る
就労移行支援を利用する大きなメリットは、専門のスタッフによるサポートが受けられる点です。就職活動が思うように進まずに不安やストレスを感じたときは、遠慮せずスタッフに相談しましょう。
就労移行支援のスタッフは障害や特性に関する理解が深く、就職活動や職場定着に関する知識も豊富です。適切なアドバイスをもらうことで気持ちが前向きになり、次の行動に移しやすくなるでしょう。
悩みをひとりで抱え込まず、サポートを受けながら一歩ずつ前に進んでいくことが、成功への近道です。
治療が必要な場合は継続する
就職活動に集中するあまり、通院を後回しにしたり自己判断で治療を中断したりする人もいますが、これはおすすめできません。自己判断で通院をやめると体調を崩して就職活動に支障をきたす可能性もあるため、医師の指示に従い、必要に応じて治療を継続することが大切です。
体調管理と就職活動の両立に不安がある人は、就労移行支援のスタッフにも相談しながら無理のない計画を立ててもらうとよいでしょう。無理をせず、自分のペースで就職活動を進めていくことが何より重要です。
雇用形態は障害者雇用の方が良い?
障害がある場合、障害者雇用の方が良いかという質問を多く受けます。障害者雇用枠で働くメリットは、仕事への復帰がしやすい点です。障害者雇用枠は企業自体が障害に理解を示し、その人の特性に合わせた配慮を受けやすい環境にあります。障害を持っていることをオープンにして働けるので、働きやすさも感じるでしょう。
ただし障害があるからといって、必ずしも障害者雇用枠での就労が良いかというと、そうではありません。大切なのは、職場環境や仕事内容が自分に合っているかどうかなので、現在の症状や状況を把握したうえで、どのような企業を選ぶか決めていきましょう。
障害別の給与の目安
ここでは、障害者雇用の平均給与についてまとめました。
厚生労働省の「障害者雇用実態調査」によると、障害別の月額平均給与は以下の通りです。
障害の種類 | 月額平均給与 |
身体障害者 | 23万5,000円 |
知的障害者 | 13万7,000円 |
精神障害者 | 14万9,000円 |
発達障害者 | 13万円 |
発達障害の人の月額平均給与は13万円ですが、Kaienの就労移行支援を利用した際の月額平均給与は、3人に1人が20万円以上です。これは、全国平均の給与と比べると、高い数字となっています。障害者雇用でも、20万以上の給与をもらうことは十分可能です。
就労移行支援の利用で就職先選択の幅が広がる!
就労移行支援を利用することで、就職先の選択の幅は広がります。特に、障害の特性を活かした職場を探している人にはおすすめです。職業訓練やスキルアップ講座などの就労サポートを受けることで、社会復帰への自信がついていきます。
就職移行支援を選ぶ際には、前述した6つのポイントを意識しましょう。これらの条件を満たす事業所であれば、あなたの就職の助けになってくれるはずです。
Kaienの就労移行支援では、過去10年間で約2000人以上の障害のある人をサポートした実績があります。また、独自求人を含む求人数の多さや、充実したカリキュラムが大きな強みです。見学や相談、体験利用は随時開催しており、すべて無料で利用できますので、興味がある人はぜひお気軽にご連絡ください。
また、Kaienは自立訓練(生活訓練)も提供しており、「生活基盤を整えた上で就職活動に取り組みたい」といった人にもおすすめです。プログラムの種類が豊富で、就職や生活に役立つ見学・体験プログラムなども実施しています。自立訓練(生活訓練)に興味がある方も、ぜひご相談ください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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