就労移行支援とは障害のある方のための支援サービスのひとつで、一般企業への就職を目指して訓練や日常生活の指導などを受けられる制度です。就労移行支援を利用する場合、事業所に通って訓練や支援を受けることになりますが、通える期間が決まっているので注意が必要です。
本記事では、就労移行支援の利用期間について詳しく解説します。これから就労移行支援の利用を考えている人や現在利用中の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
就労移行支援の制度の内容や利用までの流れなど、全体像については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも併せてご覧ください。
就労移行支援とは?受けられる支援や利用方法をわかりやすく解説
就労移行支援に通える期間は原則2年間
就労移行支援を利用できる期間は、原則2年間です。事業所に通い始めてから最大2年の間に就職を目指します。
これは、「必ず2年間通わなくてはならない」という意味ではありません。それぞれの状況に合わせて作成した個別の支援計画に沿って訓練や就職活動を行うため、人によっては半年や1年で利用を終了するケースもあります。
あくまで「最大2年」というだけで、実際にどのくらいの期間利用するかどうかは人によって変わります。
就労移行支援の利用期間は延長可能?
利用期間のリミットがあると、「2年の間に就職できなかったらどうしよう」と不安に感じる方もいるでしょう。就労移行支援は、自治体の判断によっては利用期間を延長できる可能性があります。ここでは、利用期間の延長について解説していきます。
最長1年間は延長できる可能性がある
就労移行支援を利用しても2年以内に就職できなかった場合、自治体に申請すると最長1年間まで延長できる可能性があります。ただし、「申請すれば必ず延長できる」というわけではありません。
延長を申請したうえで、自治体に「就職できる見込みがある」「利用期間の延長が妥当である」と判断された場合のみ利用期間の延長が認められます。
このように、「延長できる可能性はあるものの、自治体の判断に委ねられる」という点を理解しておく必要があります。
期間延長の申請方法
就労移行支援の利用期間延長を申請したい場合、まず就労移行支援事業所に期間延長について相談しましょう。事業所側に延長申請が妥当だと判断してもらえたら、申請に必要な書類を用意してくれます。
事業所から必要書類を受け取ったら、自治体の窓口で延長申請をします。申請した結果、自治体が延長を認めた場合のみ利用期間の延長が可能です。
就労移行支援の再利用(2回目の利用)はできる?
「就労移行支援を利用して就職したものの、退職してしまった」「体調不良で利用を中断したけど、症状が安定したのでまた利用したい」など、就労移行支援を再度利用したいという人もいるでしょう。
就労移行支援を2回利用することは可能ですが、利用期間の上限は前回分と合算される点に注意が必要です。例えば、1度目の利用で1年間通所していた場合、2回目の利用期間は最大で1年になります。このように、就労移行支援に回数制限はなく、利用期限が設けられています。他にも例を挙げると、1回目の通所期間が6ヶ月間で、2回目が4ヶ月間だった場合、3回目の利用可能期間は最大で14ヶ月(1年2ヶ月)です。
就労移行支援の利用期間は、引っ越しをして自治体が変わっても以前の利用期間が通算されるケースが多いようです。しかし、これも自治体によって異なるので、確認してみましょう。
就労移行支援の期間がリセットされることはある?
自治体によっては2回目の利用時に利用期間がリセットされるケースもあります。これは、2回目の利用の際に1回目の利用期間が通算されないということです。
例えば1回目ですでに2年間就労移行支援を利用していた場合、本来ならば2回目の利用はできません。しかし利用期間がリセットされると、1回目の「2年間」という利用履歴がなくなるため、2回目も1回目同様に最大2年間利用できるようになります。
しかし、この「利用期間のリセット」に関して、全国的に決まった基準というものはありません。各自治体の判断にゆだねられるため、リセットができない自治体も存在します。詳細はお住まいの自治体に確認してみましょう。
就労移行支援の期間中に就職できなかったらどうする?
就労移行支援の期間中に就職できなかった場合、選択肢としては主に以下の3つがあります。
- 就労継続支援に移行する
- 自立訓練(生活訓練)に移行する
- 就職について見つめ直す
それぞれどういうものか、詳しく見ていきましょう。
就労継続支援に移行する
就労継続支援とは、一般企業への就職が困難な方に対し、働く場を提供したり、就労に必要なスキルを向上させる訓練を提供する支援制度のことです。
就労継続支援は「A型」と「B型」の2種類に分かれています。
A型は一般就労は難しいものの、雇用契約のもと働ける方が対象です。
A型は最低賃金が保証されている分、B型よりも安定した日数や勤務時間で働くことが求められます。また、雇用契約が更新されれば仕事を続けられるため、利用期間の制限がありません。
B型の対象となるのは、障害や年齢、体力的な理由などにより雇用契約にもとづく就労が難しい方です。
B型では、労働の対価は給与でなく「工賃」で支払われます。最低賃金よりも下回るケースが多いものの、利用者の体調やペースに合わせて柔軟に働くことができます。また、こちらも利用期間の制限はありません。
就労移行支援の利用期間中に就職が難しかった場合、この就労継続支援で働くという方法もあります。
自立訓練(生活訓練)に移行する
就労移行支援の利用期間中に就職が決まらなかった場合、自立訓練(生活訓練)を利用し、生活の自立を目指しながら就職も考えていくという方法もあります。
自立訓練(生活訓練)は、障害のある方の生活スキルの維持・向上を目指しサポートしていく支援制度で、最大2年間利用できます。
Kaienの自立訓練(生活訓練)では、生活スキルやコミュニケーションスキル、進路選択の方法など、利用者の方が自分らしく生きていくことを目指したさまざまなプログラムが用意されています。また、プログラムで学んだ内容を2~8週間かけて実践していく個別プロジェクトや、Kaienのスタッフと1対1で行うカウンセリングがあるのが特徴です。
カウンセリングでは、就職までの進め方や自分に合う仕事の選び方も相談していただけます。Kaienでは無料の説明会や個別相談会を随時開催しているので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
就職について見つめ直す
大きな考えの転換ではありますが、本当に就職が自分にとって最良の選択なのか、改めて見直してみるのも良いでしょう。
就職は、自分に合う環境で生活していくための1つの手段に過ぎません。自分らしく生きていくという最終的な目標に対する手段は、就職以外にもあります。障害年金や生活保護といった支援を受けて生きていくのも1つの方法です。地域活動支援センターなどに所属して、社会と交流するという方法もあるでしょう。
就職したからといって、それがその人にとって負担にしかならないのであれば、最良の選択とはいえません。なぜ就職を目指すのか、それは何のためか、いま1度考えてみるのもおすすめです。
就労移行支援の利用期間でお悩みの方はKaienにご相談ください
就労移行支援は、最大で2年間利用できます。この期間はあくまでも「最大」で、人によっては半年や1年で利用を終えることもあります。それぞれのペースに合った支援計画を立ててもらえるので、焦りすぎず就職活動を進めましょう。
2年の間に就職できなかった場合、自治体に申請して認められれば最大1年間の延長が可能です。「利用期間の終了が迫っているのに就職先が決まらない」といった場合は、延長について事業所に相談してみましょう。
就労移行支援の利用期間でお悩みの方は、Kaienにご相談ください。Kaienでは発達障害*の強みを活かした就労移行支援を実施しており、過去10年で就職者数約2,000人の実績があります。就労移行支援についてのノウハウをたくさん持っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
就労移行支援は期間を考慮して計画的な利用を
就労移行支援の利用可能期間は、原則として最大2年間です。例えば1回目の利用で6ヶ月間だけ通った場合、2回目は残りの1年6ヶ月分通えるなど、利用期間の上限は前回分と合算される点に注意が必要です。また、自治体によっては2年間を過ぎても、最大1年間延長できる場合もあります。
就労移行支援を2年間利用しても就職が決まらなかった場合、就労継続支援や自立訓練(生活訓練)に移行するという方法もあります。また、本当に働くことが最善なのか、将来の進路について見つめ直しても良いでしょう。
就労移行支援の制度を理解して、自分に合う方法で利用していきましょう。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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