LDとは?種類ごとの特徴と仕事選びのポイントを解説

公開: 2025.3.21更新: 2025.3.21

「もしかして自分はLDかもしれない」と悩んでいませんか?また、ご家族が学習の困難さを抱えていて、どうサポートすればよいのか分からないと悩んでいる方もいるでしょう。

LD(学習障害*¹)は知的障害がなく、外見からも分かりにくいため、周囲に理解されにくい障害のひとつです。しかし、自分の苦手な部分を知って適切なサポートを受けることで、学校や職場でも能力を発揮できます。

この記事では、LDの種類や特徴、診断基準、仕事選びのコツなどを詳しく解説します。LDの方が利用できる公的支援も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

LD(学習障害)とは?

LD(学習障害)は、学習に関して特定の困難がある発達障害*²のひとつです。文字を読むのが苦手な人もいれば、書くことや計算が難しい人もいます。苦手な作業は人によって異なりますが、知的能力には問題がない点が特徴です。

LDは、視覚や聴覚の障害、経済的・環境的な要因によるものではなく、中枢神経系の機能障害によって生じると考えられています。一般的には「LD」という言葉が広く使われていますが、医学的には「限局性学習症(SLD)」と呼ばれます。

LDの種類と特徴

LDは、苦手とする分野に応じて次のような種類があります。

  • 読字障害(ディスレクシア):文字を読むのが難しい
  • 書字障害(ディスグラフィア):文字を書くのが難しい
  • 算数障害(ディスカリキュリア):数字や計算の理解が難しい

それぞれの特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。

読字障害(ディスレクシア)

読字障害(ディスレクシア)は、「文字を読む」ことに困難を感じる障害です。読むスピードが極端に遅くなることもあり、学習や日常生活に影響を及ぼすケースも少なくありません。

具体的には、次のような症状が見られます。

  • 似た文字の識別が難しい
  • 文章を読んでいる途中で行を見失う
  • 文章の内容を理解しにくい
  • 文字が歪んで見える
  • 文章の一部を飛ばしてしまう

個人差はありますが、文字のフォントや背景の色によって読めるものと読めないものが分かれる場合もあります。また、日本語よりもアルファベットのほうが読字障害の症状が出やすい傾向があり、特に英語の学習で苦労する人もいます。

書字障害(ディスグラフィア)

書字障害(ディスグラフィア)は、「文字を書く」という作業に困難を感じる障害です。文章の内容を理解し、頭の中で書きたい内容を考えることはできても、実際に文字を書くのが難しいという特性があります。

具体的な症状には、次のようなものが挙げられます。

  • 文字が歪んでしまう
  • 似た形の文字を書き分けられない
  • 鏡文字を書いてしまう
  • 句読点の使い方がわからない

人によっては、手書きは苦手でも、パソコンでのタイピングは問題なくできる場合もあります。

上記のような症状によって、「板書をノートに書き写すのに時間がかかる」「筆記テストで良い点数が取れない」といった困りごとを抱える方も少なくありません。

算数障害(ディスカリキュリア)

算数障害(ディスカリキュリア)は、数字や計算の理解に困難を感じる障害です。数の概念をうまくつかめず、数学的な思考が必要な場面で戸惑いやすいのが特徴です。また、計算だけでなく、時計の読み方やお金の管理など、日常生活にも影響を及ぼすケースもあります。

具体的には、次のような症状が見られます。

  • 簡単な暗算ができない
  • 九九を覚えられない
  • 数の大小が理解できない
  • 繰り上がりや繰り下がりの計算が難しい
  • 図形を認識しにくい

算数障害の症状は個人差が大きく、小学校では問題がなかったものの、中学校の数学で困難を感じて障害が判明するケースもあります。

LDの診断基準とは?

LDは、アメリカ精神医学会が作成する精神疾患の診断基準「DSM-5」において、「限局性学習症(SLD)」として分類されています。DSM-5では、以下の症状のうち少なくとも1つが存在する場合にSLDと診断されます。

  1. 不的確または速度が遅く、努力を要する読字
  2. 読んでいるものの意味を理解することの困難さ
  3. 綴字の困難さ
  4. 書字表出(文章を書くこと)の困難さ
  5. 数字の概念、数値、計算を習得することの困難さ
  6. 数学的概論(数学的な概念・事実・方法を適用すること)の困難さ

1・2は読字障害、3・4は書字障害、5・6は算数障害に該当し、複数の症状が重なるケースも少なくありません。

また、LDと診断されるには、「知的能力には問題がないものの、学習面において知的能力では説明できないほど著しく困難を抱えていること」が前提となります。

診断基準は上記の通りですが、診断には専門的な評価が必要なため、個人で判断せずに医療機関を受診しましょう。

LDの方が仕事で抱えやすい困りごと

LDの方は読み書きや計算に困難を感じるため、学校の勉強だけでなく、社会に出て仕事をするうえでもさまざまな課題に直面することがあります。業務の内容によっては、特に強いストレスを感じている方も少なくありません。

具体的には、次のような困りごとがあります。

  • 報告書の作成やメールのやりとりが難しい
  • マニュアルを読むのに時間がかかる、または内容を理解しにくい
  • 会議や研修でメモをとるのが難しい
  • 簡単な計算ができず、数値を扱う業務で負担を感じる
  • 数字を扱う作業に対して強い恐怖やプレッシャーを感じる
  • 表やグラフの内容がうまく理解できない

困難の内容や程度は職場の環境や業務内容によって異なりますが、適切な対策を講じることで負担を軽減できる場合も多くあります。LDの方の仕事選びについては次章で詳しく紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

LDの方の仕事選びのポイント

LDの方が働くうえでの負担を減らすには、仕事選びが重要です。ここでは、LDの方の仕事選びのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

自分の苦手な部分を理解する

LDの症状は人によって異なるため、まずは自分の苦手な分野を把握することが大切です。得意・不得意を明確にすると、適した仕事や負担の少ない職種、必要な支援が具体的に見えてきて、仕事選びをスムーズに進められます。

また、適切なサポートを受けるには、自分の困難な点を具体的に伝える力も求められます。職場に自分の特性や苦手な分野を伝えて合理的配慮を求めることで、より働きやすくなるでしょう。支援を受けやすくするために、診断結果や困難な場面をメモしておくのもおすすめです。

このように、自己理解を深めることが、より自分に合った仕事を見つける第一歩となります。

サポート体制がある職場を選ぶ

LDの方が働くうえでの負担を軽減するには、サポート体制が整った職場を選ぶことも重要です。例えば、音声入力ソフトや電卓の使用が認められている環境であれば、文字を書くことや計算が苦手な方でもスムーズに業務を進めやすくなります。

また、苦手な作業を行う際にサポートスタッフがつく職場もあり、必要に応じて支援を受けられるケースもあります。このような合理的配慮を受けやすい環境を選ぶことで、安心して仕事に取り組めるでしょう。

さらに、障害者雇用を活用するのも選択肢のひとつです。障害への理解がある職場で働けるため、適切な配慮を受けながら自分の力を発揮しやすくなります。

公的な支援を活用する

近年、LDを含む発達障害の方を支援する公的な制度が充実してきています。一人で悩まず、利用できる制度を積極的に活用しましょう。就労移行支援など、個々の特性に合わせたサポートを受けられる制度もあります。これらを活用することで、自分に合った働き方を見つけやすくなるでしょう。

公的な支援を活用すると、適した職場を紹介してもらえたり、職場での配慮を受けやすくなったりするのもメリットです。就職後の定着支援を受けられるケースもあり、長く安定して働くための環境づくりにも役立ちます。支援を受けるための窓口については後述しているので、そちらもぜひチェックしてみてください。

LDの方が利用できる支援先

最後に、LDの方が利用できる支援機関を紹介します。支援制度の活用を検討している方はもちろん、「誰かに相談したいが、どこに相談すればよいかわからない」と悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方やその家族を対象に、幅広いサポートを提供する専門機関です。保健・医療・福祉・教育・労働といった関係機関と連携しながら、生活や就労に関する相談、助言、支援を行っています。具体的な支援の内容は個々の状況に応じて異なり、必要に応じてアドバイスや情報提供を受けることが可能です。

仕事を希望する方には、ハローワークなどと協力して求人情報を提供したり、職場環境の調整に関するアドバイスを行ったりすることもあります。LDを含む発達障害に関して、生活面や仕事についての悩みがある方は、まずは相談してみるとよいでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害のある方が安定して働き、日常生活を送るためのサポートを提供する機関です。利用者には就業支援担当と生活支援担当がつき、仕事や生活に関する幅広い相談ができます。

仕事面では職場探しや面接対策、就職後の定着支援などを実施し、生活面では金銭管理や生活スキルの向上、住居に関する相談などにも対応しています。仕事と生活の両面をサポートしてもらいたい方におすすめの支援機関です。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方が自分に合った仕事を見つけ、職場に定着するための支援を行う専門機関です。仕事を探している方に対して、適性を評価する「職業評価」や、就職に向けたスキルを学ぶ「職業準備支援」などを提供しています。就職活動に不安を感じている方や、どのような仕事が向いているか悩んでいる方は、相談してみましょう。

また、職場にジョブコーチを派遣し、業務の進め方のサポートや、職場環境の調整を支援する仕組みもあります。働く本人だけでなく、雇用する企業側にも助言を行い、職場での合理的配慮が進むよう支援するのも特徴です。

ハローワーク

ハローワークは、求職者が仕事を探す際に支援を受けられる公的機関です。全国のハローワークには障害者向けの専門窓口が設けられており、職業相談や求人紹介、就職後の定着支援などを実施しています。

障害者雇用に関する相談もできるため、障害者雇用枠での就職を検討している方にもおすすめです。希望の求人が見つからない場合は、ハローワークを通じて企業へ求人募集を依頼することもできます。働きたいけれど何から始めればよいかわからないという方は、まずハローワークに相談してみてください。

就労移行支援

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指す際に利用できる福祉サービスです。職場で必要なスキルやマナーを学ぶほか、履歴書の作成や面接対策、企業とのマッチングなど、就職活動全般についてサポートを受けられます。

就労移行支援は、すぐに就職を目指す方だけでなく、自分の障害や特性を理解しながら就職準備を進めたい方にも適しています。就労移行支援事業所には、幅広い障害に対応する「総合型」と、特定の障害に特化した「専門型」の2種類があり、目的に応じて選べるのも特徴です。

総合型事業所は全国に多く、通いやすい場所を見つけやすいというメリットがあります。一方、専門型事業所は特定の障害に特化したサポートが受けられるため、自分の特性に合った支援を希望する方におすすめです。

また、プログラミングやWebデザインといった専門スキルを学べる事業所もあるため、希望する職種が決まっている方は、その分野のスキルを習得できる事業所を選ぶとよいでしょう。

自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が地域で自立した生活を送るために必要なスキルを学べる支援制度です。仕事を始める前に生活基盤を整えたい方や、就労や自立に向けて時間をかけて準備したい方におすすめです。

具体的には、生活リズムの管理、食事や金銭管理、健康管理、障害福祉制度の活用方法など、実生活に役立つスキルの習得を目指します。また、自分の障害について理解を深め、長期的に安定した生活を送るためのサポートも受けられます。

このように、自立訓練(生活訓練)では実際の生活場面を想定した実践的な訓練が受けられるのが特徴です。一人暮らしを始めたい方や、仕事と生活の両立に不安がある方は、自立訓練(生活訓練)の活用を検討してみましょう。

LDの特徴を理解し適切に支援を受けよう

LDは、知的能力に問題がないものの、読み書きや計算に困難を感じる発達障害の一種です。仕事や日常生活でさまざまな困難を感じる場面がありますが、適切なサポートを受けることで、自分の力を発揮しながら働けます。仕事や就職活動に不安がある方は、公的な支援機関の利用も検討してみてください。

Kaienでは、発達障害の方が自分の強みや特性を活かして働けるよう、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)を提供しています。就労移行支援では、適職を見つけるためのアセスメントや、実践的なスキルを身につけるプログラムを用意。自立訓練(生活訓練)では、感情のコントロールや進路探しのサポートを受けることができます。

見学・個別相談会やオンライン個別相談も実施しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

*1学習障害は現在、DSM-5では限局性学習症/Specific Learning Disability、ICD-11では発達性学習症/Developmental Learning Disorderと言われます。

*2発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

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