適応障害で復職後にしんどい時の理由とは?対処法と注意点も解説

公開: 2025.3.19更新: 2025.3.31

適応障害から復職したものの、しんどいと感じてしまうこともあるでしょう。もし、しんどいと感じている場合には、慎重に対処することが大切です。ストレスを抱えたままにしていると、体調が再び悪化し場合によっては適応障害の症状が再発することもあります。

以下では、適応障害からの復職後にしんどいと感じる理由としんどい時の対処法、注意点について解説します。復職や就職について相談できるサービスも紹介するので、お悩みの方はぜひ最後まで目を通してみて下さい。

適応障害で復職後にしんどいと感じる理由4選

適応障害などのメンタルヘルスの不調から復職した人の再病休率(再度休職に至る割合)は復職後1年に57.4%、復職後2年に76.5%といわれています(※)。再発の可能性が決して低くはないため、復職および復職後のすごし方については慎重に考えることが大切です。

以下では、適応障害で復職後にしんどいと感じる場合の主な理由を解説します。しんどいという状態に適切に対処するためにも、まずは理由を把握するようにしましょう。

※参考:厚生労働省「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」

休職前と同じ働き方を求めてしまう

「復職したからには、休職前と同じように働かなければ」「休んでしまった分、役に立たなければ」と思い込むあまり、無理をしてしんどく感じるケースがあります。

本人ががんばろうと思っても、体調や業務遂行能力が十分に回復していないことはよくあります。復職にあたって主治医から復帰可能との診断を受けた場合でも、主治医は必ずしも、職場で求められる高い活動レベルまで回復したと判断しているとは限りません。

また、長く仕事を休んでいた場合、誰でもいきなり以前通りにテキパキと働けるわけではありません。復職後は、無理をせずに徐々に職場や仕事に慣れていく期間が必要です。

体調が十分に回復していないため本来は無理ができない状態であるにもかかわらず、「以前通りに業務をこなさなければ」と焦りや不安を覚えて、自分を追い込むことがあります。

仕事の負担や環境の変化に適応しきれない

復職後の仕事の負担や環境の変化に適応できていないために、しんどいと感じることもあります。

復職後に、休職前と異なる業務を担当する場合や、異なる人間関係の中で業務を遂行することもあるでしょう。復職後は、体調が十分に回復していないことが多いため、新たな仕事や環境の変化に適応するのにストレスを感じやすいといえます。

また、復職後すぐに、休職前と同じ業務内容や業務量、責任を求められる職場もあるでしょう。そもそも休職前の業務や責任の重さがストレス要因となって、適応障害を発症していた場合には、業務の負担を改めてもらわない限り、適応が難しいといえます。

復職後は、最初から自分に合う仕事の内容や量に調整されているとは限らず、本人と会社とで様子を見ながら業務を調整していく必要があります。調整がまだできていない段階では、適応できない仕事や環境の変化に遭遇することも少なくありません。

症状の再発への不安やプレッシャーを感じる

「また適応障害になったらどうしよう」「再発して迷惑をかけてはいけない」といった不安やプレッシャーから、しんどいと感じることもあります。

適応障害といったメンタルヘルスの不調からの復職では、再発を招かないためにもストレスをうまく解消していくことが大切です。しかし、それにもかかわらず、「再発したらどうしよう」と再発すること自体に恐れや不安を抱き、ストレスを感じることもあります。また、「再発すると周囲に迷惑をかけてしまう」と自らプレッシャーをかけて、気持ちが休まらずストレスをためてしまうこともあるでしょう。

再発への不安から精神的なプレッシャーを自ら強め、緊張状態が続くことで、しんどく感じる場合があります。

周囲の理解が得られず孤独を感じる

周囲の理解や配慮が得られないために、孤独を感じ、しんどく思えることもあります。

適応障害に対する理解が十分でない職場では、「復職したのだから、もう大丈夫だろう」と見なされて、休職前と同様の対応を求められることもあるでしょう。

復職後は完全に業務遂行能力や体調が回復しているわけではないため、本来は、段階的に業務量や責任の範囲を元に戻していくなどの配慮や協力を周囲から得る必要があります。しかし、適応障害に対してあまり理解がない環境では、そうした配慮は得にくいといえるでしょう。

周囲の理解が得られない環境では、休職していたことを引け目に感じ、本音で相談することが難しくなるケースも少なくありません。精神的な負担が増し、一人で悩みを抱え込んでしまうこともあります。

適応障害で復職後にしんどいと感じた時の対処法

適応障害から復職した後にしんどいと感じる場合の対処法について解説します。今の悩みが解消できそうなもの、取り組みやすいものを見つけて実践してみましょう。

仕事の負担を調整しながら少しずつ慣れる

復職後は、「休職前のようにテキパキと働こう」とは思わずに、仕事の負担を調整しながら、少しずつ慣れていくようにしましょう。

復職後すぐに休職前と同じ業務量や責任をこなそうとすると、心身に大きな負担がかかり、適応障害の症状を再発させたり、悪化させたりすることもあります。

休職前と同様のペースを目指して気負って働くのではなく、目の前にあることを一つずつこなしながら、無理なく業務を遂行していくようにしましょう。

業務量が多くてしんどい、業務内容が合わないなどの支障を感じたら、上司や職場に相談し、業務内容や業務量を調整してもらいつつ、少しずつ仕事に慣れていくことが大切です。

信頼できる人に相談して気持ちを整理する

信頼できる上司や同僚、産業医、カウンセラー、家族などに相談して気持ちを整理することも大切です。

復職後は「これ以上周囲に迷惑をかけられない」「大丈夫だと思われていて本当のことが言えない」などと、一人で悩みを抱えることもよくあります。しかし一人で抱え込んでいても、何も解決せず、ただ負担が増えていくだけです。

まずは信頼できる人に話してみて、気持ちを整理することが重要です。話すことで気持ちが整理され、ストレスが軽減されることがあります。

また、業務内容や業務量が負担になっているなどストレスの原因が明確になってくることもあります。原因が見えてくると、改めて職場に調整を相談することもできるでしょう。

心の健康を保ち適応障害の再発を防ぐためにも、人に相談できる環境を整え、こまめに話したり気持ちを整理したりしていくことが大切です。

無理をしすぎないように働き方を見直す

働き続けられるようにするためにも、復職後は働き方を見直すことも大切です。

「復職したからには、休職前と同じように働かないといけない」と思い込み、復職後に無理を重ねてしまう人は少なくありません。しかし、適応障害を経験した後は、無理をするのではなく、自分に合った働き方を模索することが必要です。

例えば、無理に長時間労働や責任の重い仕事、向いていない仕事を受け入れるのでなく、時短勤務を利用したり、業務や責任の範囲を変えてもらったりする工夫が必要です。自分が働きやすい状態に見直していくことで、心身のバランスを保ちやすくなり、無理なく働き続けることが可能となります。

生活リズムを整えて心身の負担を軽減する

生活リズムを整えることは、心身の健康を向上させることに役立ちます。体調をよい状態で維持するためにも、生活リズムを整えるようにしましょう。

復職後は、仕事に集中しようと無理をするあまり、睡眠不足となったり、不規則な食生活を送ったりすることもあります。生活リズムが乱れると、体調不良や気分の不安定さを引き起こしかねません。体力やストレス耐性が低下することもあるでしょう。

朝は決まった時間に起き、夜も早く寝てしっかりと睡眠を取る、さらにバランスのよい食事を意識して取るといった規則正しい生活を送ることが大切です。体調を安定させ、仕事にも取り組みやすくなります。

再発を防ぐために適度なストレス発散を心がける

復職後は、ストレスをためて症状の再発を招かないためにも、適度なストレス発散を心がけるようにしましょう。

休職中は自分のペースですごすことで心身の休息が図れたものの、復職後はそうもいきません。業務を遂行する上で、多少のストレスを抱えることは避けられないといえるでしょう。ストレスを感じた際には、趣味に打ち込んだりリラックスしたりする時間を設けるなどして、こまめに発散することが大切です。

自分に合ったストレス解消方法を日常生活に取り入れることで、精神的な負担を軽減しやすくなります。「少し疲れた」と感じた時点で、早めにストレス解消を図ることが心の健康の維持にも役立つでしょう。

適応障害で復職後にしんどいと感じる時は休養が必要な場合も

適応障害で復職後にしんどいと感じてなかなか改善されない場合には、休養が必要な場合もあります。

適応障害とはある特定のストレス要因によって抑うつ気分や不眠などの日常生活に支障をきたす症状が現れる障害のことです。一般的にはストレス要因から離れると症状は改善するといわれています。

しかし、復職後もストレス要因が解消されていない場合や完全に回復していないのに無理を続けた場合には、症状が悪化することもあります。適応障害が悪化するとうつ病に進行する可能性も否定できません。

しんどい状況が続く場合は、再休職や退職も視野に入れて一旦仕事を離れ、治療に専念した方がよい場合もあります。つらい状況が続く場合は医師に相談しましょう。

また、再休職からの復職や退職後の復職に不安がある方は、次に紹介する福祉サービスなどを活用することがおすすめです。

適応障害の方が復職や就職するために利用できるサービス

適応障害の方が復職や就職について相談したい場合には、下記のようなサービスが利用できます。

  • ハローワーク
  • リワーク
  • 自立訓練(生活訓練)
  • 就労移行支援

適応障害に理解のある職場を探したい、復職に向けて生活上や就労上のスキルを向上させたいなど、ニーズに応じてサービスを使い分けることが可能です。以下で詳しく紹介します。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)とは、国が運営する総合的な雇用サービスを提供する機関です。障害のある方に向けた専門窓口が設けられており、障害に理解のある専門の相談員が、就職から職場定着まで一貫してサポートしてくれます。

障害の特性や悩みを理解した上で、職業紹介を行ってくれるため、例えば対人関係でストレスを受けやすい人は、人と接する頻度の少ない職場を紹介してもらうといったことも可能です。

一般的な転職エージェントと異なり、適応障害やうつ病などに理解のある企業の求人情報を多く保有しているため、障害に理解のある職場を紹介してもらえる点も利点といえます。

職場定着までサポートしてもらえるため、復職後も心配なことや困ったことがあれば相談ができ、職場との業務量や仕事内容の調整を行ってもらえます。

関連記事:職業訓練とは?種類やコース、受講のメリットから申し込みの流れまで解説

リワーク

リワークとは、適応障害やうつ病などのメンタルヘルスの不調によって休職している人の職場復帰を支援するプログラムです。

リワークでは、復職に必要となるスキルや能力を高めるプログラムを受けることができるため、復職後に仕事についていけない、しんどいといった問題を抱えにくくなります。

リワークは主に下記の4つの実施主体があり、実施主体によりリワークの内容が異なります。

  • 医療機関
  • 就労移行支援や自立訓練(生活訓練)
  • 障害者職業センター
  • 休職中の本人が所属する企業

医療機関は、病状の安定や回復などを主な目的とした医学的リハビリなどが受けられます。就労移行支援や自立訓練(生活訓練)では、仕事上のスキルや生活における基礎力の習得が可能です。

障害者職業センターでは、休職中の本人と雇用主、主治医の共同体制での職場復帰プランが組まれます。また、休職中の本人が属する企業が、復職支援プログラムを提供しているケースもあります。

リワークについては下記の記事も参考に、自分に合ったリワークを選択するようにしましょう。

関連記事:リワークとは?受けられる場所や就労移行支援との違いも解説

自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が自立した生活を送れるように、必要な生活スキルの維持・向上のための訓練を提供する障害福祉サービスです。

適応障害で休職している間に乱れた生活リズムを取り戻したい場合や、コミュニケーション力やストレス耐性といった生活における基礎力を磨きたい場合に活用できます。日常生活や社会生活におけるスキルを高めておくことで、復職後にしんどいと感じるストレスを軽減できるでしょう。

受けられる訓練サービスは、自立訓練(生活訓練)事業所によって異なるため、あらかじめ各事業所のサービス内容を確認の上、自分にあった事業所を選ぶことが大切です。

例えば、Kaienの自立訓練(生活訓練)では、講座・実践プログラム・カウンセリングの3本立てで、下記のような復職後も役立つソーシャルスキルを身に着けることができます。

  • 生活リズムを整える睡眠コントロール方法
  • 感情のコントロール方法
  • ストレスのやわらげ方(ストレスコーピング)
  • コミュニケーション力
  • キャリア・デザイン など

カウンセリングでは1対1でじっくりと相談することが可能です。自立訓練(生活訓練)については、下記の記事もぜひご参照下さい。

関連記事:自立訓練(生活訓練)カリキュラム

就労移行支援

就労移行支援とは、一般企業などへの就職を希望する障害のある方を支援する障害者福祉サービスです。復職に関する相談ができ、就労に向けた生活上の相談もできます。

職場で役立つ実践的なスキルや体力を強化するプログラムを受けることができるため、仕事に対する自信をつけながら復職に向かうことができます。

受けられる支援サービスは就労移行支援事業所によって異なります。例えば、Kaienにおける就労移行支援では、一例として復職後も役立つ下記のようなカリキュラムがあります。

  • 障害学・ソーシャルスキル:コミュニケーションや心身の管理の他、障害についても学べるプログラム。感情のコントロールやストレス対応方法などが習得できる。
  • 実践型!職業訓練:実作業を通して実践的なスキルの向上を図るプログラム。オフィス事務のロールプレイができ、IT・デザインなどの専門的なスキルも学べる。

支援員は専門資格保有者が約9割で、医療福祉の経験者だけでなくエンジニア・デザイナー出身者も多数在籍しており、1対1の専門的なカウンセリングを実施しています。

就労移行支援プログラムについて詳しくは下記の記事も参考にして下さい。

関連記事:Kaienの就労移行支援プログラム

適応障害から復職後にしんどい時は再度休養が必要な可能性も

適応障害から復職した後は、仕事や環境の変化に合わなかったり、症状の再発への不安やプレッシャーから自分を追い込んだりするなどしてしんどいと感じることもあるでしょう。しんどいと感じる時は、再発を防ぐためにも、うまくストレスを解消することが大切です。

それでもしんどい状況が続く場合には、再度仕事を離れてじっくりと休養を取り、治療が必要となることもあります。

復職や再就職をすることに不安があるといった場合には、Kaienにご相談ください。

Kaienでは、発達障害*や精神障害に理解ある企業200社以上と連携しており、就労移行支援、自立訓練(生活訓練)について豊富な経験と実績に基づいたサポートが可能です。

ご相談やご見学は、オンラインでも、ご家族だけでもご参加いただけますので、お気軽にお問合せください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

監修者コメント

適応障害は精神疾患の中で数少ない、原因と結果がはっきりした疾患です。したがって、適応障害で休職になった方は、原因が取り除かれれば復職できます…と言われてしまっては、身も蓋もないでしょう。事実、適応障害で休職になった方に、そろそろ復職を、とお伝えすると、皆さん顔をしかめて「職場のことを考えると辛くなります」とおっしゃるのですから。

今回のコラムでは、復職時、あるいは復職後に辛くなった方への対処法として様々な提案がなされました。これらは素晴らしいことです。しかし、会社に勤めた経験も、長期間動けなくなるほど、辛い経験をしたこともない私にとっては、直接的なアドバイスはとても難しいものです。

代わりに、私が小学6年生の時にジュニア朝日年間を熟読する「変わった小学生」で悪ガキ軍団に目をつけられたとき、高校の時に仲の良かった(はずの)グループから爪弾きにされたとき、何が自分の心を救ってきたかをお伝えすることはできます。

それは、グループの中にどう戻るかのテクニックを直接教えてもらうことより、自分とは環境の異なる世界で生きる人の書いたエッセイでした。あるいは、深夜テレビで見聞きする都会の大人のちょっとしたオシャレでした。

エッセイでは、画家・東山魁夷氏の『白い馬』や医師・米山公啓氏の『医者の個人生活366日』でした。女性作家・阿川佐和子氏や岸本葉子氏のエッセイは、男性と異なる軽やかな感覚を与えてくれました。メディアでは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』やポパイ、ターザン、ブルータス編集長・石川次郎氏の『トゥナイト2』でした(奇しくも氏は、私の開業する杉並区のご出身・ご在住ですが、特段お会いしたことはございません)。

こういう心の余白というか、糊代を持っておくと、案外直接的なテクニックを持っていなくても、生きていけるのではないかと私は思い、実際そのように仕事をしています。

監修:中川 潤(医師)

東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。


この記事を読んだあなたにおすすめの
Kaienのサービス