精神障害者手帳の更新に必要なものとは?更新を忘れた場合の対処法も解説

2025.1.23

精神障害者手帳を取得してから長く経っている場合、「手帳の更新をしたいけど何が必要?タイミングは?」などと疑問に思うこともあるでしょう。そこで、以下では精神障害者手帳の更新に必要なものやタイミングについて解説します。

さらに、更新を忘れた場合の対処法や更新以外に申請が必要なケースについても説明します。手続きをスムーズに行うためにもぜひ最後まで目を通してみて下さい。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは、一定程度の精神障害の状態にあることを認定する手帳です。

精神障害により、長期にわたって日常生活や社会生活において制約がある方を対象として発行されます。全ての精神障害が対象で、例えば下記のような障害も対象に含まれます。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病、そううつ病)
  • 非定型精神病(統合失調症や双極性障害など)
  • てんかん
  • 中毒精神病(アルコール依存症、薬物依存症など)
  • 器質性精神障害(高次脳機能障害など)
  • 発達障害*¹(自閉症、学習障害*²、注意欠陥多動性障害等)
  • そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)

参考:厚生労働省「障害者手帳について」

手帳の等級は1級から3級まであり、障害が最も重い状態が1級です。手帳を持っていると、下記のようなさまざまな支援を受けられます。

  • NHK受信料の減免
  • 税金の控除・減免
  • 鉄道・バス・タクシーなど交通運賃の割引(※)
  • 携帯電話料金の割引(※)
  • 上下水道料金の割引(※)

※地域・事業所によっては行われていない場合もあります。

精神障害者手帳の更新のタイミング

精神障害者手帳の更新のタイミングは、手帳の有効期限の3ヶ月前がおすすめです。

精神障害者手帳には2年間という有効期限があります。正確には、手帳が交付された日から2年後の月末までが有効期限です。例えば、2024年1月11日に交付された手帳の有効期限は2026年1月31日です。交付日も有効期限も手帳に記載されているため確認してみましょう。

精神障害者手帳の更新手続きについては、有効期限の3ヶ月から可能です。更新の審査のために2ヶ月~2ヶ月半ほどかかるといわれているため、手続きは早めがおすすめです。

更新しないと、有効期限が切れ手帳は失効します。失効すると、それまで受けていた支援が受けられなくなるケースもあるため、忘れずに更新手続きをしましょう。

精神障害者手帳の更新に必要なもの

精神障害者手帳の更新手続きは、手帳に記載の市区町村の担当窓口で行います。多くの場合、下記のような書類が必要です。

  • 現在の精神障害者手帳
  • 所定の申請書
  • 診断書(精神障害者保健福祉手帳用)あるいは障害年金証書の写し
  • 本人の顔写真(縦4cm×横3cm、1年以内に撮影のもの)

必要な書類については、内容や書式が自治体で異なることもあります。そのため、提出前には、申請する自治体のホームページで確認するか、担当窓口に問い合わせましょう。

更新し忘れた場合はどうすればいい?

更新し忘れた場合は、精神障害者手帳に記載されている担当部署や窓口に問い合わせましょう。

担当部署や窓口に更新を忘れたことと引き続き手帳を利用したいことを伝えると、必要な手続きを指示してもらえます。指示に従って手続きすることで、手帳の再発行を受けられるケースがほとんどです。

有効期限切れの期間を作らないためにも、更新時期を忘れないようにカレンダーやスケジュール帳にメモをしておくとよいでしょう。

なお、Kaienが運営する求人サイト「マイナーリーグ」には精神障害者手帳の更新時期をお知らせする機能があります。マイナーリーグは、障害に配慮ある環境で一芸や専門性を発揮できる仕事を探せるサイトです。障害者手帳を保有し、仕事を探している方はぜひ活用してみて下さい。

更新以外に申請が必要なケース

精神障害者手帳について、更新でなくとも申請が必要となるケースもあります。更新以外に申請が必要な4つのケースについて、順に解説します。

等級が変わったとき

精神障害者手帳の記載の等級から、他の等級に変わった場合は申請が必要です。

障害者手帳の交付時から障害の状態が変化し、記載の等級から他の障害等級に至ることもあるでしょう。等級が変わった場合には、申請して等級を変更することで、その等級に合った支援を受けられます。

手続きは、手帳に記載の自治体の担当窓口で行います。必要書類は自治体のホームページなどで確認できます。主に下記のような書類の提出が必要です。

  • 現在の精神障害者手帳
  • 所定の申請書
  • 診断書(精神障害者保健福祉手帳用)あるいは障害年金証書の写し
  • 本人の顔写真(縦4cm×横3cm、1年以内に撮影のもの)

住所・氏名を変更したとき

精神障害者手帳の記載の住所や氏名に変更があった場合は、申請が必要です。

手続きは、手帳に記載の担当窓口でできます。ただし、他の市区(他の自治体)への住所変更の場合、転出先の自治体の窓口で手続きを行います。

必要書類は自治体のホームページなどで確認できますが、主に下記のような書類が必要です。

  • 現在の精神障害者手帳
  • 所定の変更申請書

紛失や破損したとき

精神障害者手帳を紛失や破損した場合は、再交付の申請が可能です。

再交付も最初の交付時と同じく、自治体の担当窓口で手続きができます。再交付には、主に下記のような書類が必要です。必要書類は自治体によって異なることもあるため、事前に公式ホームページなどで確認しましょう。

  • 所定の申請書
  • 本人の顔写真(縦4cm×横3cm、1年以内に撮影のもの)
  • 本人確認書類
  • 破損の場合は破損した精神障害者手帳

返還したいとき

精神障害者手帳を返還したいときも申請が必要です。

障害者手帳の交付を受けたものの、政令で定める精神障害の状態がなくなったときには、速やかに手帳を返還することが法令で義務付けられています。そのため、症状が軽快し、障害者手帳を保有するにあたらない状況になった場合には、返還手続きを取りましょう。

返還手続きは、手帳に記載の担当窓口でできます。必要書類は主に次のようなものです。

  • 所定の返還届
  • 現在の精神障害者手帳
  • 本人確認書類

実際の手続き時には、念のため事前に必要書類を自治体のホームページなどで確認して下さい。

精神障害者保健福祉手帳の更新は早めに手続きをすすめよう

精神障害者保健福祉手帳の更新は、有効期限の3ヶ月前から手続きが可能です。更新の審査には2ヶ月~2ヶ月半ほどかかるため、早めに手続きをするようにしましょう。

更新手続きを忘れると、手帳の有効期限が切れてしまい、それまで受けられていた支援を受けられなくなることがあります。更新手続きが可能な時期をカレンダーやスケジュール帳にメモするなどして、手続きを忘れず、早めに行えるようにしておくことがおすすめです。

万が一、更新を忘れてしまった場合には、手帳に記載の担当窓口に速やかに問い合わせ、再交付に向けて指示を仰ぐようにしましょう。

手帳で適切な支援を受けるために、これらの情報が役立つと幸いです。

*1発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

*2学習障害は現在、DSM-5では限局性学習症/Specific Learning Disability、ICD-11では発達性学習症/Developmental Learning Disorderと言われます。

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